3章1話

○東京某所・ビル街

六月(N)
「――メテウス機関の規約にはこう定義されている。
『ウィザードは、ナイトメア警報が通知された場合、
いつ、いかなる場合においても、それを最優先事項と心得、
出現地点まで可能な限り迅速に出動し、
事態の対処に当たるものとする』
俺は、こう思う。――ウィザードは、人を守りし盾なのだ」

六月のデバイス(スマホ)が目覚ましアラームを鳴らす

六月  
「七時半……そろそろ時野さん、起きちゃうかな」

魔法通信は、通常のノイズではなく魔法的ノイズをいれたい
(通常の通信ノイズはざりっとしたノイズで声が乱れるが、魔法通信は魔法っぽい音で声が少し乱れる)
無線がつながった時に「ざりっ」という音がするような感じで、魔法通信もつながった時に「(魔法っぽい通信音)」がする

夏樹(通信)
「六月先輩、そっちに行ったぞ!」

六月  
「了解。ナイトメアの動き、確認したよ。
夏樹くん、追い込みありがとう。あとはこっちで捕獲する」

夏樹(通信)
「それじゃ、頼んだぜ。俺は高みの見物といくから」

ナイトメア(複数)が道路を曲がって出現
うごめいている雰囲気(瘴気をまき散らしている感じ)

六月(咒文)
『――魔法円(フィールド)展開。いま我は、戦いに身を投ず。
仇なす敵を討ち、勝利へ導く者とならん』

魔法空間出現、六月、変身完了

六月  
「……ナイトメアの数が、報告より多い……?」

ナイトメアの攻撃(闇っぽい球をとばしてくる)
六月が光の盾で受け、爆発
ナイトメア、ぶわっと広がって六月に覆いかぶさろうとする

六月  
「遅い! はぁぁっ!!」

六月は盾を構えたまま跳躍して、空中のナイトメアと距離をつめる

六月(咒文)『ヘパイストスシステム、アクティベイト。
――光の海に沈め……!』

六月の剣による斬撃音

六月(N)
「そしてウィザードは、ナイトメアを切り裂く――剣(つるぎ)だ」

六月(咒文)
『ドリームキャッチャーシステム起動』

ドリームキャッチャー文様を空中に表示する六月
ドリームキャッチャー『ナイトメア捕獲。――確認。オーバー』
ナイトメアが吸い込まれる

六月  
「これでひと段落、かな。
──フィールド解除、っと」

六月、魔法空間と変身モード解除
六月のデバイスに通信

六月  
「はい、こちら『アイギス』。ナイトメア、捕獲完了しました」

真澄(通信)
「ご苦労様~」

六月  
「それで、真澄先輩、お願いしていた調査は――」

真澄(通信)
「終わったよ~」

六月  
「終わりましたか。それで、どうでした? 調査結果」

真澄(通信)
「『時野柊』っていうウィザードは登録されてないね~。WWAの全ウィザード照合済み」

六月  
「そうですか……。時野さんの登録がないということは、ウィザードとしては活動していない魔法使いかもしれない」

真澄(通信)
「かもね~。あと、服も用意したよ~」

六月  
「ああ、服の手配、ありがとうございます。これから取りにうかがいます」

真澄(通信)
「もう送っちゃった。ファミリア便で」

六月  
「えっ、送っちゃったって、うちにですか?
それもファミリア便で!? 驚かせるに決まってるじゃないですか!
急いで帰ります!」

六月、通信を切って慌てて走り出す

○セーフハウス・柊の部屋

ベッドで柊が眠っている
ノイズ音が強くて、何を言っているかわからない声が聞こえる

柊   
「(小さくうなる)」

ノイズ音と声、ふたたび

柊   
「(苦しげに)……う、くっ」

柊、苦しそうに身じろぎをする
三度、ノイズ音と声

柊   
「……(だ)め……だ、(この)ままじゃ……」

柊   
「待っ(て)――……」

ノイズがさらに強くなっていく。
(そのうち柊の意識の向こう側が、白く開けてくる)
ノイズが途切れ、澄んだ鐘の音。(聖のイメージ)
一瞬安らぐ感じになるが、途端に濁った不気味な鐘の音が響く
(邪のイメージ)

柊   
「あ、ああ……――駄目だ!!」

柊、ばっと目を覚まして体を起こす
同時に(胸にとまっていた)大型カラスがバタバタと羽ばたき

柊   
「(息を呑んで目を見開く、浅く呼吸)え……なに……??」

大型カラスがカァカァと鳴く

柊   
「カラス? なんで!? それにここって? 
──あ、そうか、佐奈崎くんの家か……」

カラス 
「(カァカァ)」

六月が階段を駆け上がってくる
ドアをノックする音

六月(廊下)
「時野さん、大丈夫ですか?
何か来てますよね?」

柊、ドアを開けて

柊   
「おはよー。
何かっていうか……カラスにマウンティングされてた」

カラス 
「(勝ち誇ってカァカァ)」

六月  
「……どうも、すみません」