2章3話

○ ドッグス・拠点近く
繁華街の雑踏を歩いている咲良
デバイスからアラート音(咲良にだけ聞こえる)

デバイス(合成音)
「ターゲットロスト」

咲良  
「(舌打ち)アイギスの野郎、仕掛けたビーコンに気づきやがったか。
あのコスプレ、無駄に有能でいやがる」

裏路地に入る(閑散とした感じ)
ダーツバーのドアを開けて無造作に入る
(ヒップホップ風の音楽と喧噪)

ヤナギ 
「遅かったじゃん。なんか飲む?」

咲良  
「うっせぇ、うぜぇ、話しかけんな」

ヤナギ 
「こえぇw いつもどおりマジこえぇwww
なに、ナイトメア狩りそびれたのw だせぇww」

咲良  
「おい、ヤナギ、ぶちのめされてぇなら、はっきり言えよ」

ヤナギ 
「マジギレ乙! じゃあ顔出すなよな~」

咲良  
「ハン、ナイトメアぶっ殺すためじゃなきゃ、こんなクズばっかの溜まり場にくるか」

ダーツバーを横切ってバックヤードに向かう
(ドアを閉めると喧噪は消える)

咲良  
「……ま、クズの行き場は、クズの溜まり場ってことか」

デバイスに着信アラート

咲良  
「(腕のスマートデバイスを見て、強く舌打ち)」

通話オン

咲良  
「……んだよ」

ボス  
「いちおうお前のボスだぞ、こっちは」

咲良  
「見たことねぇヤツをいちいちボスとか呼ぶかよ、バカか。
デバイス越しにしか連絡ねェヤツがボスとかありえねェ」

ボス  
「機嫌が悪そうだな」

咲良  
「あーすげぇ気分悪いぜ。用件を言え」

ボス  
「失敗したようだな」

咲良  
「失敗? ハン、してねぇよ。てめぇの情報がハンパすぎんだよ」

ボス  
「ふん? ナイトメアと通じる女はいなかったと?」

咲良  
「あの女、闇堕ちはしてなかったぜ。ていうか、目覚めてすらいねぇ。ほぼノーマル。
だが、ナイトメアは集まってやがった。あの女が集めていたかもしれねぇが、詳細は不明」

ボス  
「それで? 女は殺したのか」

咲良  
「……いや、殺してねぇ。やれたのはナイトメアだけだ。邪魔が入りやがった」

ボス  
「邪魔?」

咲良  
「メテウスのアイギス。あのひらひらが、現場にいた」

ボス  
「……ふむ。興味深いな。メテウスも追ってるということか?」

咲良  
「いや、追っているというより、ナイトメア出現で現着して偶然居合わせたって感じだったな。
それに、あのわけわかんねぇ男が……」

ボス  
「男?」

咲良  
「いや、なんでもねぇ。
闇落ちしてようがどうだか、あの女がナイトメアに通じてるなら殺す。殺したら連絡する」

咲良、通話をオフ(ぴっ)

咲良  
「(舌打ち)うぜぇ。
――ナイトメアに通じてるヤツは殺す。
これから通じるヤツも殺す。
ナイトメアは全部潰す。
――あの女が『堕ちる預言者』なら、ぜってぇ殺す」

咲良、廊下を歩き出す。

咲良  
「あー、くそ、気分わりぃ。ナイトメアでも狩ってくるか」