1章1話

○ アバン
六月  
「魔法。それは、世界の真理を問うための力」

咲良  
「魔法。それは、敵を粉砕する復讐のための力」

柊   
「魔法。それは、世界を救うための力。そして、君を守るための力」

六月  
「クロンタティーグの円環は回る。
過去と未来をつなぎ、現在(いま)を動かす」

柊   
「君は、その中心に立つ預言者」

○ タイトルコールと前説
六月  
「クロンタティーグの円環と騎士」

六月  
「ある高名な魔術師は言った。
意思を持って従来の状態に変化をきたらせる――
つまり、神秘・奇跡・超常現象を発生させることを総称して
『魔法』と呼ぶのだと。
そして魔法を使うものは、戦う運命にある。
魔法を持たぬ人々の知らないところで、
世界を滅亡から守るため、ヒトの日常を守るために
ナイトメアと戦う魔法使いたちは『ウィザード』と呼ばれている」

○ 神楽坂・中央の通りから住宅街へ

人通りの多い神楽坂通りを歩いている六月
かすかに鐘の音(邪)が聞こえて、六月が立ち止まる

六月  
「? いま、何か――」

ヒロインとぶつかる(この時点では単なる通りすがり)
手にしていたカバンが落ちる

六月  
「あ、すみません。
(カバンを拾って)大丈夫ですか? カバン、どうぞ」

六月  
「あれ、あなたは――」

六月  
「いえ、なんでもないです。それじゃ、俺はこれで」

ヒロイン、歩き去る

六月(M)
「今の女の人――ウィザードかと思った。
なんていうか、気配が……エーテルの感じが。
でもウィザードにしてはガードが甘いから、ノーマルかな?
体質かもしれないな」

スマホの着信(バイブ)、受信する六月

六月  
「はい、佐奈崎です」

真澄  
「六月? あ~ぼくだけども」

六月  
「真澄先輩、何かありましたか?」

真澄  
「今、春休みだよな?」

六月  
「春休みですけど、今日は学校に行ってました。
でももう帰るところですよ」

真澄  
「ならさ、ちょっと足を延ばしてくれない?
なんかへんなパルス拾ったんだよね~」

六月  
「ナイトメアが出ましたか? どこですか」

真澄  
「わかんないんだけど。そのへん、六月の仮家の近くね~」

六月  
「このあたりですか。
わかりました。とりあえず行ってみます。
マップ送ってください」

真澄  
「はいはーい」

通話を切ると、マップが送られてくる(受信音)

六月  
「住宅街のほうか――急ごう。何もなければいいんだけど」

速足で、ヒロインが立ち去った方向に歩いていく六月

○ 神楽坂・住宅街
歩いてくる六月、足をとめる

六月  
「この気配――ナイトメアか」

ナイトメアの咆哮(遠く)
走り出す六月
ナイトメアの咆哮、近づく

六月  
「……誰か、襲われている! まずい!」

○ 神楽坂・住宅街

ヒロイン・ヒロインがナイトメアに追い詰められている
ナイトメアの咆哮
(以下、補足用のメモ。音声ドラマには不要)
ヒロインに鐘の音が聞こえる。
視界がぼやける中、円が描かれ、その向こうに『未来』が見える。
最初は『完全滅亡の廃墟(他の預言者と同じ未来)が見えるが、
鐘が響く中、『植物が生い茂り、陽の差し込む廃墟』に上書きされる。
思わず固まってしまうヒロインの耳に、六月の宣誓が聞こえる。

六月(咒文)
『――魔法円(フィールド)展開。いま我は、戦いに身を投ず。

仇なす敵を討ち、勝利へ導く者とならん』
六月の足元少し先に魔法円が展開される。
魔法円から、空間が書き換えられていく(魔法的な閉鎖空間・ニューマン空間。以降、六月が解除するまで、戦闘している場は魔法的に実空間から切り離されている)
同時に魔法円上で変身(戦闘装束に衣装替え)
右手に現れた剣を両手で構え直し、目の前のナイトメアを切り裂く

六月  
「たあっ!」

ナイトメアの断末魔、ナイトメア消失

六月  
「よかった、間に合った――
あれ、この人、さっきぶつかった……」

かすかに鐘の音(邪)が聞こえ、消える

六月  
「鐘の音?」

ヒロインの視界に一瞬、神楽坂(植物で覆われた廃墟)が映る
思わず反応するヒロイン
ウィザード(魔法使い)でなければ魔法的な閉鎖空間では動けないはず

六月  
「(ヒロインが動いたので驚く)『見えた』って何が? ……え?」

六月  
「あなた、この場で動けるんですか?」

六月  
「ああ、いえ。なんでもありません。
――怪我はありませんか?」

六月  
「よかった」

ナイトメアが増殖してわいてくる

六月  
「囲まれたか……一度、ここを抜けましょう。
すみません、時間がない、俺の首に手を回して。
――失礼します」

六月、ヒロインを姫抱っこ

六月  
「俺にしがみついてください。跳びますから」

六月、ヒロインを抱きかかえて跳躍、マントがはためく

六月  
「まずいな、だいぶ多い――
どこかナイトメアがいないところは……あそこか。降りますね」

六月、軽く着地。

六月  
「おろしますね。足元に気をつけて」

六月、ヒロインを下ろす

六月  
「俺の後ろにいてください」

六月  
「ああ、すみません。いきなり、失礼しました。
俺は――この格好の時は『アイギス』と呼ばれています。
ちょっと変わった格好かもしれませんが、
これはこれで由緒ある装束なので、気にしないでください」

六月  
「今あなたを襲ってきたのは、ナイトメアで――」

六月  
「増殖スピードが速いな。
話はあとで。とにかくあなたをここから逃がさないと」

空間がじんわりとゆがむ気配

六月  
「(気づいて)エーテルが揺れてる……魔法か?」

空間に転移魔法の穴が開いて、六月の足元に柊が落ちてくる

柊   
「……いってぇ……転移、成功……?」

六月  
「転移魔法? ウィザード?」

柊   
「(六月に気づいて)きみ、誰? 彼女、無事!?」

六月  
「え、あ、この人なら、無事です。大丈夫」

柊   
「よかったぁ……。ナイトメアは、その子を狙ってる。気をつけて」

ナイトメアが沸いて攻撃してくる

柊   
「危ないっ!」

六月  
「はっ!(手を伸ばして魔法の盾を出現させる)」

六月、盾を出してナイトメアの攻撃をはじく

六月  
「確かに、この人が狙われているようですね。
なおのこと、守らなければ」

柊   
「すごいな、その魔法円の盾」

六月  
「ありがとうございます」

柊   
「俺は、時野柊」

六月  
「(柊が本名を名乗ったことに少し驚きつつ)
メテウス機関の『アイギス』です」

ナイトメアがさらにうぞうぞと発生する

六月  
「話してる場合じゃないですね」

柊   
「ああ。まずは彼女の安全を確保しよう」

六月  
「俺がナイトメアを引き受けます。その間に二人で逃げてください」

柊   
「わかった。ありがとう。
──行こう。安全になったら、ぜんぶ説明するから」

さえぎるように、咲良が魔法円を展開する

咲良(咒文)
『魔法円(フィールド)起動。戦闘の場において、力なきものは去れ』

咲良、飛び込んできて雷の魔法を放つ

柊   
「うわっ!?」

咲良  
「逃げんじゃねぇぞ、女。ナイトメアとセットで、ぶっ殺す」